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製品安全データシート

052101

二硫化炭素

製造者
会社名 : 日本硫炭工業株式会社
住所 : 《本社》大阪市中央区南船場4丁目2番4号
《工場》大分市大字中ノ洲2番地
担当部署 : 大分工場 技術課
TEL : 097-521-0977
FAX : 097-521-0978
緊急連絡先 : 大分工場 TEL:097-521-0977
作成・改訂 : H12/04/01
MSDS aF MSDS−01
充填製造者及び販売者
会社名 : 株式会社 内藤商店
郵便番号 : 460-0002
住所 : 名古屋市中区丸の内3丁目8番3号
担当部署 : 製造部
TEL : 052-962-5551
FAX : 052-961-5901
緊急連絡先 : 052-962-5551
受付時間 : 月曜日〜金曜日 8:00−17:00
改訂 : 2001/01/29
MSDS a@: MSDS-052101

製品名(化学名・商品名等) : 二硫化炭素

物質の特定
単一製品・混合物の区別 : 単一製品
化学名 : 二硫化炭素
含有量 : 99%以上(JIS K-8732二硫化炭素(試薬) 純度試験法(GC))
化学式 : CS2
官報公示整理番号 化審法: (1)−172
CAS a@: 75-15-0
国連分類 : クラス3.1(低引火点引火性液体)
国連番号 : 1131
危険有害性の分類
分類の名称 : 引火性液体、急性毒性物質、その他の有害性物質
危険性(*1) : 引火しやすい液体で、空気との爆発性混合物を形成しやすい。また、爆発性混合物の範囲が広く、発火しやすい。
有害性(*1) : 蒸気を吸入したとき有害、皮膚からも吸収されて有害作用を及ぼすことがある。
環境影響 : 生物分解性なし(*5)
応急処置
眼に入った場合 : 清浄な水で最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当を受ける。
皮膚に付着した場合 : 汚染された衣類、靴などを速やかに脱ぎ、付着した部分を水、または、微温湯を流しながら洗浄した後、石鹸を使ってよく洗い流す。
大量に吸入した場合 : 被災者を直ちに新鮮な空気の場所に移動させ、適当に暖かく保つ。
飲み込んだ場合 : 意識があれば、コップ1杯のなまぬるい塩水、または温かい石鹸水を飲ませ嘔吐させる。
火災時の処置
消火方法 : 二硫化炭素は、水よりも比重が大きいため、十分な水を用いて液面を被覆することがもっとも効果的である。火災時には、有毒及び刺激性の亜硫酸ガス、二硫化炭素蒸気が発生するので、空気マスク等の呼吸用保護具を着用する。
消火剤 : 水噴霧、粉末、炭酸ガス等
漏出時の処置
漏洩した場所の周囲には、ロープを張る等で立入禁止の措置をとる。
風下の人を退避させる。
付近の着火源となるものを速やかに取り除く。
作業の際には、必ず保護具を着用する。
(少量) 漏洩した液は、水で覆った後、土砂等に吸着させて空容器に回収し、水封後密栓する。その後、大量の水を用いて洗い流す。
(大量) 漏洩した液は、土砂等でその流れを止め、安全な場所に導き、水で覆った後、空容器に回収し、その後、大量の水を用いて洗い流す。この場合、濃厚な排液が河川等に排出されないように注意する。
取り扱い及び保管
 取り扱い :
(1) 取扱場所は「火気厳禁」として通風をよくする。
(2) 取扱時は、漏れ、あふれ、飛散しないようにし、みだりに蒸気を発生させないと共に発散した蒸気を吸い込まないようにすること。
(3) 事情の許す限り、液表面を水で覆い、大量送液は水圧送とする。
(4) 非電導性で流動により帯電するため、接地等の静電気対策をする。
(5) 電気設備は防爆構造とする。
 保管 :
(1) 大量に保管する貯蔵は、防油提内に水没式とする等、法に示す技術上の基準を満たしたものであること。
(2) 保管場所は通風を良くし、蒸気が滞留しないようにすること。
(3) 直射日光が当らない冷暗所に保管する。
(4) 保管場所は「火気厳禁」とする。
(5) 事情の許す限り、液表面を水で覆い保管する。
E 第1類及び第6類の危険物と同一の場所に保管しないこと。
暴露防止措置
 管理濃度 :
  10ppm
 許容濃度 :
ACGIH(1997年度版)(*3) : TWA 10ppm、31mg/m3
日本産業衛生学会(1998年度版)(*3) : 10ppm、31mg/m3
 保護具(*2) :
  呼吸用保護具(有機ガス用防毒マスク、空気呼吸器)
保護眼鏡又はゴーグル
保護手袋(合成ゴム製)
保護長靴(合成ゴム製)
保護衣 (合成ゴム製)
物理/化学的性質
外観等 : 無色透明、液体(*1)
沸点 : 46.25℃[101.3KPa](*6)
蒸気圧 : 39.66KPa[20℃](*6)
揮発性 : なし(判定基準→大気圧における沸点20℃以上)
  但し、沸点が46.25℃と低いため、かなりの揮発性があることに留意すべきである。
融点 : −111.5℃(*1)
比重 : 1.263[20℃ 水=1](*6)
  但し、ごく少量の場合、水の表面張力により、二硫化炭素が粒子となって、水表面上に浮く場合がある。この粒子を寄せ集めれば、水面下に沈めることができる。
溶解度 水 : 難溶→2.10g/kg [20℃](*6)
他 : アルコール、エーテルその他の有機溶剤と任意に溶解し、ゴム、樹脂、硫黄、リン、脂肪などをよく溶かす。(*1)
【 その他 】
LogPow :
(水、オクタノール分配係数)
2.11(*5)
蒸気密度 : 2.97kg/m3[101.3KPa 46.25℃](*6)
表面張力 : 32.3mN/m[20℃](*6)
体膨張率 : 0.5096KJ/m・S・K[20℃](*1)
粘度 : 0.367mPa・S[20℃](*6)
屈折率 : 1.6276[20℃](*6)
比熱 : 1005J/kg・K[液 20℃](*6)
679J/kg・K[気 200℃](*6)
燃焼熱 : 1107.1KJ/mol(*1)
熱伝導率 : 0.161W/m・K[液 20℃](*6)
0.0073W/m・K[気 46.25℃](*6)
蒸発潜熱 : 355KJ/kg[101.3KPa 46.25℃](*6)
熱容量 : 45.48J/mol・K[25℃](*6)
生成熱 : 117.1KJ/mol[25℃](*6)
危険性情報(安定性/反応性)
引火点 : −30℃[密閉式](*1)
発火点 : −90℃(*1)
最小着火エネルギー : 0.009mJ
爆発限界 上限 : 50vol%[25℃ 空気中](*1)
下限 : 1.25vol%[25℃ 空気中](*1)
安定性・反応性 : 比較的不安定で、常温においても、特に光により徐々に分解される。(*1)
その他 : 吸湿性なし。(*1)ごく少量の場合、水の表面張力により、二硫化炭素が粒子となって水表面上に浮く場合がある。この粒子を寄せ集めれば、水面下に沈めることができる。
有害性情報
刺激性(*1) : 皮膚→一時的に赤くなり、ヒリヒリする。完全に蒸発しない場合、次に疼痛から薬傷に至る。
眼→粘膜を刺激し、炎症を起こす。
急性毒性(*1) : 1000ppm以上の二硫化炭素に接触し、またはそのガスを吸入した場合に急性中毒を起こす。中毒症状はアルコール、クロロホルムなどの麻酔作用に似ており、通常興奮状態をへて麻ひ状態に入り意識がもうろうとし、重症例では呼吸麻ひを起こして死亡する。
(吸入)人 LCL0 4000ppm/30分(*9)
(吸入)ラット LC50 25g/m3 2時間(*7)
(吸入)マウス LC50 10g/m3 2時間(*7)
(経口)ラット LD50 3188mg/kg(*7)
(経口)マウス LD50 2780mg/kg(*7)
(経口)モルモット LD50 2125mg/kg(*7)
(皮下)ウサギ LD50 300mg/kg(*9)
(腹腔内)ラット LDL0 400mg/kg(*9)
(腹腔内)モルモット LDL0 400mg/kg(*7)
亜急性毒性(*1) : 数百ppmの二硫化炭素蒸気環境で、毎日作業を継続するときは、数週から数ヶ月後に頭痛、神経過敏、夜間の不眠と昼間の睡気、各種の自律神経障害、性欲減退、消化器系の症状などが現れる。この環境状態がさらに継続すると、前駆症状なしに突然に精神障害を発生することがある。この精神障害は、二硫化炭素環境から離せば、数週間で回復するのが、普通である。
慢性毒性(*1) : 数十ppmに近い二硫化炭素の環境濃度では、慢性中毒の起こる可能性がある。この症状は、たいていはっきりした限界なしに、いつのまにか始まり目立たない。自覚的な訴えとして、全身倦怠、頭重(後頭部)、めまい、物忘れ、不眠、多夢、下肢倦怠などを訴える。神経症、神経炎など神経症状が主となる例もある。
(吸入)人(男性) TCL0 40mg/m3 91週間(*7)
(吸入)人 TCL0 50mg/m3 7年間(*8)
(吸入)人 TCL0 50mg/m3 7年間(*8)
がん原性(*3) : 日本産業衛生学会勧告(1998年度版 発がん物質)の第1群、第2群にも分類されていない。
変異原性 : 文献(7)に、「変異原性データがある」の記述がある。
催寄形性 : 文献(7)に、「動物実験にて催奇形性あり」の記述がある。
環境影響情報
分解性 : 0% (By Gc analysis;100mg/L 4Weeks)(*5)
蓄積性 : コイ 50μg/L→BCF<6.1(6Weeks)(*5)
コイ 5μg/L→BCF<60(6Weeks)(*5)
魚毒性 : モスキートフィッシュ TLm(48Hr) 135ppm(*4)
ヒメダカ TLm(48Hr) 10.8mg/L(*5)
その他 : LogPow (水、オクタノール分配係数)=2.11(*5)
廃棄上の注意
取扱い : 沸点が46.2℃と低いので極めて蒸発しやすく中毒をおこしやすい。取扱い及び保管上の注意の項の記載によるほか、可燃性で有害な液体の取扱いに対する一般的な注意事項によること。
【 廃棄方法 】  
酸化法: 次亜塩素酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウムの混合液体を攪拌しながら、二硫化炭素を滴下し酸化分解させた後、多量の水で希釈して処理する。→生成物(Na2CO3、Na2SO4)
燃焼法: (1)スクラバーを具備した焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
(2)建物等から離れた安全な場所で、冷えて乾いた砂、又は土の上で少量づつ場所を変えて燃焼させる。→生成物(SO2、CO2)
分析方法: ジエチルアミン吸光光度法、ガスクロマトグラフ法
運送上の注意
 1.陸上輸送
    1)消防法(第4類 特殊引火物)(液体)(危険等級1)
小型容器 : 危険物の規制に関する規則 別表第3の2 参照
(注) 容器は危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第68条の5に定める容器試験基準に適合していることを確認すること。
※中型容器である、フレックスコンテナは許可されていない。
容器表示 : 一 特殊引火物、危険等級1、(化学名)
二 (数量)
三 火気厳禁
積載方法 : 運搬時の積み重ね高さは、3m以下
混載禁止 : (1)第1類及び第6類の危険物
(2)高圧ガス
    2)毒物及び劇物取締法(劇物)(包装等級1)
容器 : 毒物及び劇物の運搬容器に関する基準−その3 参照
(注) 容器は毒物及び劇物の運搬容器に関する基準−その3に定める容器試験基準に適合していることを確認すること。
容器表示 : 一 医薬用外(赤地に白文字)
二 劇物(白地に赤文字)
三 (劇物の名称)(劇物の成分及び含有量)
四 (製造者の名称及び住所)
積載方法 : 運搬時の積み重ね高さは、3m以下
※容器の基準は、消防法で厳しく制限されており、毒劇法の許可容器であっても、消防法の許可対象であるのか確認が必要である。
 2.海上輸送
    ばら積み輸送(危険物、低引火点引火性液体)
    個品輸送(危険物、低引火点引火性液体)(容器等級1)
容器 : 船舶による危険物の運送基準等を定める告示別表第5に定める小型容器又は大型容器。
(注) 容器は(財)日本船用品検定協会の検査を受けたUNマーク表示容器を使用すること。
容器表示 : 正標札 H、副標札 i、品名及び国連番号(国際航海に限る)
積載方法 : D 1、2
 3.航空輸送
※二硫化炭素は、航空法で持込み禁止物質となっている。
 4.注意事項
1) 引火性液体であり、「火気厳禁」
2) 小型容器の収納率は、消防法、毒劇法ともに温度55℃において、容器の内容積の98%以下とされている。容器が40℃以下となるように、直射日光等の防止措置をすること。
3) 空タンク車、空タンカーを移送するときは、満水して運送することが望ましい。やむを得ない場合は、表記トン数の10〜20%の水を入れて運送する。
適用法令
労働安全衛生法 : 危険物(引火性物質) 法45条(令15条、別表1)
  表示物質 法57条(令18条)
  通知対象物質 法57条の2(令18条)
  作業環境測定物質 法65条(令21条の10、別表6の2、屋内作業場)
  健康診断 法66条(令22条の6、別表6の2、屋内作業場)
  第1種有機溶剤 有機溶剤予防規則
消防法 : 危険物 第4類(特殊引火物)法2条 別表
高圧ガス保安法 : 毒性ガス、可燃性ガス 一般高圧ガス保安規則 2条
毒物劇物取締法 : 劇物 法2条(別表1)
大気汚染防止法 : 特定物質 法17条(令10条)
毒物劇物取締法 : 劇物 法2条(別表1)
化学物質管理促進法 :
(PRTR法)
第1種指定化学物質 法2条(令1条、別表1)
船舶安全法 : 引火性液体 告示別表5
海洋汚染防止法 : 有害液体物質(B類) 令別表1
  海洋汚染物質(P) 規則30条の2の3(告示)
参照文献
 (1)日本化学会編「化学防災指針3」 丸善(1979)
 (2)厚生省薬務局安全課監修「毒劇物関係通知集、改訂増補版」 薬務広報社(1987)
 (3)労働省労働基準局安全衛生部監修「労働安全衛生関係法令解釈例規集」 第一法規
 (4)「主要化学品1000種 毒性データ特別調査レポート」 海外技術資料研究所(1973)
 (5)通産省基礎産業局化学品安全課監修「化審法の既存化学物質安全性点検データ集」
    日本化学物質・安全情報センター(1992)
 (6)KirkOthmer「ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECNOLGY」4th Edition
    JOHN WILEG&SONS Inc.(1992)
 (7)R.J.Lewis.Jr「SAX'S DANGEROUS PROPAETIES OF INDUSTRIAL MATERIAL」8th Edition
    VAN NOSTRAND REINHOLD(1992)
 (8)米国国立労働安全衛生研究所編「化学物質毒性データ総何覧」 日本メディカルセンター(1976)
 (9)後藤稠 他編「産業中毒便覧」 医歯薬出版(1977)
データ作成者
 日本硫炭工業株式会社
その他
 記載内容は、現時点で入手できる資料、情報、データにもとずいて作成しており、含有量、科学的性質、危険、有害性等に関しましては、今後、追加修正されうるもので、現時点でいかなる保証をなすものではありません。また、注意事項は、通常の取扱を対象としたものであり、特殊な取扱をされる場合は、用途、用法に適した安全対策を実施の上、ご利用ください。

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〒460-0002
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